19. 金谷くんと生徒会2


 というわけで、放課後。
 私は、金谷くんと一緒に生徒会室へと足を運んでいた。
 それから、優奈とミキにも来て貰っている。二人は暇だって言っていたし、「じゃあ、私のお願いを聞いて貰っても別に問題無いでしょう?」と話をしたら、「それを言われたらずるくね?」と言いながらもついてきてくれた次第だ。
 生徒会室の扉を、ノックして開ける。

「やあ、兄さん。やってきてくれたんだね!」

 窓際の席。そこに金谷俊は座っていた。
 『会長』と書かれた紙が机の上に置かれている。どうやらそこは生徒会長――言うならば彼の席になっているようだった。
 しかしながら、それ以外の席――例えば副会長や会計など、は紙こそ置かれていたが、後は誰も居なかった。

「……お前、人のこと言えないけれど、人望なさすぎじゃあないか? 前年度の引き継ぎとかどうするつもりだったんだ」
「前年度の引き継ぎは、ノートに書いて貰っている。だからそこに関しては問題な」 「問題無くはないだろう。どう考えたって」

 確かにそうだ。金谷くん――ああ、もうややこしいので下の名前で呼ぼう――明くんは言った。

「で? まさか、全ポストが居ないから、僕に仕事を割り振りに来た、というわけか?」
「……そうだよ、悪いかよ」
「悪いだろうがよ。人数がどうしても足りない。副会長に会計、それに運動部と文化部の委員長……」
「取りあえず、今の人数で足りるっぽくね?」

 言ったのはミキだった。

「な……んだと?」

 流石にその発言は無いと思ったのか、明くんは目を丸くしてミキを見つめていた。

「金谷兄弟がどう考えているか知ったこっちゃないけど、生徒会が無くなってコントロール出来なくなるのは事実っしょ。それに、生徒会が無くなって一番楽になるのは、他ならない先生達だし。だって生徒会のコントロールをする必要が無くなるんだもん。そんな状態だったとしても、生徒会は必要だ。紛れもなく、明快な回答だ。だって、そうじゃあなければ、生徒会長選挙なんてやらないっしょ?」

 ミキの発言は正論だった。
 その言葉に、さらに彼女は続ける。

「私たち、確かに暇だけど、学力は無いよ。だから、舐められる危険性だってある。特に運動部と文化部の元締めなんて難しいこと、仮に人が居てその人から引き継がれたって分かるかどうか分かったものじゃあない。けれど、私たちには友人が居る。友人パワーで何とか乗り切るしか無いよね」
「ゆ、友人パワー……だと?」

 俊くんも、ミキの発言に圧倒されていて、その発言を反芻するばかりだった。

「要するに!」

 ミキが発言をまとめる。

「私たちが全員要職に就けば万事解決オールオッケーって話じゃあないかって訳」





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