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呪われの剣と六つ星の城
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静狩村に到着したのは、午後三時過ぎだった。
正確には、北陸新幹線で富山駅まで行って、そこからローカル線でゆらゆら揺られて、さらにそこから村営バスみたいなもので果ての涯まで辿り着いた。
小さなバスターミナルだった。
かつては多くのバスがやってきた——ってこともあったのだろう。しかしながら、今はそれもなく、バス停には寂しく数本のバスがやってくることを示す時刻表ばかりが掲載されている。
「ここが……静狩村」
ぼくは呟くと、夏乃さんはにししと笑みを浮かべつつ、
「あんまり肩肘張らなくても良いと思うけれどね? ともあれ、よもやこんな田舎だとは全く思いもしなかった——なんてことはないけれどね。一応、村のホームページもあるから、自然豊かな村ってことぐらいは分かっていたし」
「分かっていたのなら、言ってくれても良かったじゃないですか……」
「何でも情報が与えられると思ったら、大間違いだぞ。一応、静狩村というデータは与えただろ。別にSNSを調査しろとまでは言わないけれどね」
「?」
何かのゲームの受け売りだろうか?
「……ええと、確かバスターミナル向かいにある喫茶店に依頼人が居るはずだが」
夏乃さんは話題を強引に切り替えて、喫茶店をキョロキョロと探し始める。
バスターミナルの周囲には民家しかない。小さいビルもあるけれど、何も書かれていない看板が掲げられているところを見ると廃墟なのだろうか。
そして、その民家のうちの一つに小さく看板が掲げられているものがあった。
喫茶店『宿り木』。
「アレじゃないですか? 夏乃さん」
「どれ?」
夏乃さんは視線をそちらに移すと——確かにそうだったようで大きく頷いた。
「それだ! でかしたな、洋平」
そう言って夏乃さんは駆け出していった。
いや、急いだところで喫茶店は逃げないと思いますけれど……。
と、ぼくは言いたかったけれどそれよりも早く夏乃さんについていかなくてはならないと思った。夏乃さんは、暴走してしまうことが常々あるので、ぼくがブレーキ役としていかなくてはいけないからね。
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